食べるCM

先日、某ハンバーガーメーカーのTVCM/効果音の仕事をさせて頂きました。

監督は以前よりお世話になっている監督で無類の映画通。MA現場では映画の話が尽きません。演出も映画に因んだものが多く、今回のオーダーはCMの舞台が高校野球部ということで、映画「桐島、部活辞めるってよ」風。

「さりげなく、でも派手に盛り上げてくれ」

そういうオーダーでしたが、そうはいってもあくまでもドラマ仕立ての中におかしな世界観を作り出す監督はいわゆる創作系効果音を好まないので、使えるのはアンビエンス(風景音)とフォーリー(体の動きに絡む音)のみ。「効果音を付けた事が分からないのが成功」とされるドラマ効果演出です。

高校の放課後を表現する・・・「校庭の部活動/テニス部/サッカー部」「体育館から漏れ聞こえる女子バレー部のかけ声」「教室窓のどこからともなく聞こえてくる吹奏楽部の練習風景」「郊外のエアノイズ/鳥のさえずり/風でゆれる草木」・・・

ハンバーガーの詰まった袋を持って走る女子高生。「ずっしりパンパンに詰まった紙袋」「荒々しく無我夢中で走る女子高生の足音」・・・

そして何よりも苦悩したのが「ハンバーガーを食べる音(今回はフライドチキンが入ったバーガーもありました)

普段、ハンバーガー類のCMにおいて食べる音を付けることはあまりありません。ハンバーガーはふっくらしたバンズに挟まれているため、それに吸音され食べる音はほとんど出ないのです。無理に音を出そうとすれば食べる際の息づかいか汚い音が発してしまいます。食品のCMにおいて「美味しい」という効果を見出せない効果音は逆効果を生んでしまう。チョコレートやパリッとしたポテトチップス、サクサクの揚げ物など、食べる音を誇張する事で美味しさを表現できるのなら追求するメドが立ちますが、明確な食音の認識がないものに音を付けることは危険が伴います。印象や認識と違う音は受け入れられずに汚いものと認知されてしまう可能性が高いからです。そのリスクを冒しそうな場合はその音を付けないという判断に至る事が多いのです。しかしながら監督は「若さ溢れる若者が荒々しく美味そうにかぶりつく描写に音は不可欠」との判断で何とか食べる音を付けようと尽力しました。

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弊社が誇る音タレントたちがひたすら商品を食べ、その音を収録しました。さすがに音タレントたち。なかなかの秀音が収録できました。しかし何か1つ決定打となる「芯」がない・・・。

そこで、秘策を使いました。どんな秘策か? それは秘密です。

その秘策を知りたい方は、食音を伴うCMのオーダーをお待ちしております!

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